エンジンをかけてしばらくすると、エアコンから冷たい風や暖かい風がでるはずなのに、いつまでたってもエアコンが効かない!
エアコンが故障してしまうと、真夏ではサウナのような車内、真冬では冷凍庫のような車内の車に乗らなければいけないという拷問のような事態になってしまいます。
エアコンの故障は、さまざまな機構がそれぞれの働きをして動作するため、故障した箇所によって症状が違うので、症状別に故障の原因をご紹介します!
エアコンの冷房と暖房は仕組みが違う!
車の冷房の仕組みは、エアコンガス(冷媒)にコンプレッサーで圧力をかけ高温で高圧状態にして、ガスを液化させてコンデンサをとおし、ファンによって冷却し、液化した冷媒がリキッドタンクをとおり、汚れや液化できなかった冷媒を取り除きます。
その後、エキスパンションバルブからエバポレーター内に噴射することによって気化され、その気化熱によってエバポレーター付近の空気を冷やし、ブロアファンによってエバポレーターをとおして冷やされた空気を車内に送り、エバポレーターに噴射したエアコンガスは、再びコンプレッサーに送られ循環することによって冷房のサイクルが行われます。
非常に複雑な構造になっていますね!
暖房はもっと簡単な仕組みになっていて、エンジンを冷やすためにエンジン内をとおり、高温になった冷却水をヒーターコアに送ることによって、熱くなったヒーターコアをとおし、ブロアファンで車内に暖かい空気を送り、ヒーターコアから冷却水の水路に戻っていき循環することによって暖房のサイクルが行われるといった仕組みになっています。
冷房が効かない場合の主な故障の原因
・エアコンガスの漏れ、不足
・コンプレッサーの故障
・コンプレッサーの内部圧力の異常
・エバポレーター・フィルターの詰まり、汚れ
冷房が効かない原因は、主にこれらが原因である場合が多いです。
エアコンコンプレッサーの故障
エアコンガスが漏れていたり、量が足りていないとコンプレッサーで十分に圧力がかからず、冷房が効かなくなります。
チェック方法として、まずコンプレッサーが正常に動いているかチェックしましょう。コンプレッサーはエンジンルーム内にあり、ファンベルトがかかっている2本の配管が出ている丸い筒状のものです。
エアコンのスイッチを入れると『カチッ』という音とともに、アイドリングが少し上がれば、正常にコンプレッサーが動作していますのでチェックしてみましょう。
エアコンのスイッチを入れてもコンプレッサーから音がしなかったり、アイドリングが何も変わらない場合は、コンプレッサーの故障の可能性が濃厚です。
エアコンガスの不足
次に、コンプレッサーが正常に動作している場合はエアコンガスをチェックしてみましょう。
エアコンガスは、サイトグラスといったガスの流れをチェックするための窓がついており、サイトグラスから中を覗くことによってチェックできます。液化された冷媒が流れていて、気泡が見えればガスの量は適切な量が入っているといえるでしょう。
もし、白い泡状のものしか見えない場合は、エアコンガスが不足している場合があり、ガスが漏れていないか確認し、ガスが漏れている場合は、漏れないよう修理した上、ガスを適切な量に補充することによって修理することができます。
漏れのチェックも専門の整備工場などでチェックしてもらうことができます。
なにも見えない場合は、液化した冷媒だけが流れている可能性があり、ガス量が多すぎるため大きな圧力がかかるため、エアコンシステムを保護するための機能が動作し、コンプレッサーが止まり、エアコンが効かなくなります。
しかし、サイトグラスによるエアコンガスのチェックは、正確なガスの量を測れる訳ではないので、最近の車にはついていないものもあります。きちんとチェックするにはプロに点検してもらうようにしましょう。
エバポレーターの故障
その他にも、エバポレーターやフィルターの目詰まりでも冷房が弱くなる原因になります。
エバポレーターは気化熱により冷やされるため、空気中の水分が結露して水滴がつきます。
その水滴に、チリやホコリがついてしまい、目詰まりを起こして風量が落ちたりすることもあります。
エバポレーターの目詰まりは、数年で起こることは少ないですが、10万kmを超えていたり、10年落ちの車となると、汚れがたまっている可能性があり、故障の原因にもなることがあります。
フィルターも同じく目詰まりを起こし風量を落とすことがあるので、フィルターは1年ごとに交換をおすすめします。
暖房が効かない場合の主な故障の原因
・サーモスタットの故障
・冷却水(クーラント)不足
・ヒーターコアの詰まり
・エアミックスドアの故障
暖房が効かない原因は、主にこれらが原因である場合が多いです。
サーモスタットの故障
中でも一番多い原因が、サーモスタットの故障になります。
サーモスタットは冷却水の温度を、一定に保つために装備されている重要な部品です。エンジンを暖めるために、最初は弁が閉まっていて、ある規定の温度になれば弁が開き冷却水を循環させ、水温を一定に保つための働きをしています。
しかし、弁が閉まったままだとエンジンをオーバーヒートさせてしまいますし、弁が開きっぱなしだとオーバークールといって、常時エンジンに冷却水が流れてエンジンを冷やすため、冷却水の水温も上がらないという事が起こり、暖房を出すことが出来なくなってしまいます。
暖房が効かない場合、サーモスタットの弁が開きっぱなしになっている故障が多く、チェック方法はエンジンをかけて20分~30分ほどたってから水温計の針が中心、もしくは中心より少し上を指していれば正常です。
冷却水が不足していることが原因で、暖房が効かないことがあります。
冷却水が不足するとヒーターコアに気泡が入ってしまい、十分に暖まった冷却水が循環せず、車内に送られる風が暖まりません。
また暖房が効かなくなるだけではなく、エンジンが故障してしまう原因にもなるので、冷却水もチェックしてみましょう。
ヒーターコアの詰まり
ヒーターコアはラジエーターと同じく、細い配管が右往左往しています。
細い配管のため錆やごみなどで詰まってしまい、冷却水がヒーターコア内部を循環せず、結果暖房が効かない原因になります。
主に経年劣化した車に多い症状です。
エアミックスドアの故障
エアミックスドアとは、ヒーターコアに当てる風の量を調整して、風の温度を変えるための板のような装置です。
エアミックスドアが故障すると、ヒーターコアに風を当てることが出来ず、風は出るものの、冷たい風しか出ないといった故障が起きます。
風がまったくでない場合や、出たり出なかったりする場合の主な故障の原因
風がまったく出ない場合
・ブロアモーターの故障
風が出たり出なかったりする場合
・レジスターの故障
・温度センサーの異常・故障
ブロアモーターの故障
エアコンスイッチをONにしても、風がまったく出ない場合はブロアモーターをチェックしてみましょう。
ブロアモーターは車内に風を送るための、いわば扇風機のようなものです。
ブロアモーターが故障すると、コンプレッサーやガスが正常でも風を車内に送ることが出来ないのでエアコンが効かない原因になります。
レジスターの故障
出たり出なかったりする場合は、レジスターという部品が故障している可能性があります。
レジスターが故障すると、風量を最大にすると風が出るけれど、風量をゆるくすると出ないといった症状になる故障もあります。
温度センサーの故障
温度センサーが故障すると、エアコンをオートにしている場合、温度センサーから測られた温度により風量を調整しているので、うまく測定することができずに、風が出ない症状の故障が起こります。
エアコンをオートで使用するのではなく、手動で風量を決めて使用する場合、正常に動作する場合は、温度センサーの故障の可能性が濃厚です。
また、エアコンのスイッチがまったく反応しない場合、あまりないですがヒューズ切れの場合もあるのでチェックしてみましょう。
いかがでしたか?エアコンの故障は、さまざまな要因が絡み合っている場合もあり、特定が難しい修理でもあります。
修理をする際は、整備工場やディーラーなどプロに任せることをおすすめします。
エアコンがないと、快適なカーライフが一転【地獄のカーライフ】になってしまいます!
日常的に点検をして『おかしいかな?』と思ったら、早めに点検を受けて完全に故障する前に修理してしまいましょう!