中古車を購入する際に車種が決まればいろんなサイトや車屋さんでその車を検索したりすると思います。
その際に同じグレード、同じ色、近しい走行距離なのに価格差が大きい車を見たことはありませんか?そういった時、説明をよく読むと「修復歴」の違いだと思います。
修復歴と事故歴は、同じ様な意味合いをとることが出来ますが、実際は全く違います。中古車査定士が、その違いを詳しく説明します!
修復歴とは?
まず修復歴とは、事故により損傷した車を修復した場合に与えられるものですが、バンパーやボディーなどの傷や凹みを修復したからといって、修復歴がつくのではありません。
『でも、それって結局修復してるし、修復歴になるんじゃないの?』と思われると思いますが、実は中古車市場では修復歴にならない車なのです。
中古車市場での修復歴には線引きがあり、車体の骨格部分(フレーム)に曲がりや歪みなどが生じて、骨格部分の交換や修復(修正・補修)をした車両のことを修復歴車とします。
つまり、フレームにあたる部分を交換又は修正・補修しなければ、【修復歴】はないという評価になります。
車の骨格部分(フレーム)とは、
1.フレーム(サイドメンバー)
2.フロントクロスメンバー
3.フロントインサイドパネル
4.ピラー
5.ダッシュパネル
6.ルーフパネル
7.ルームフロアパネル
8.トランクフロアパネル
9.ラジエーターコアサポート※
この1~9の部分は車の重要な骨格部分のことです。
この内の1ヶ所でも大きなダメージによって、交換や修復がされたことがあれば【修復歴あり】に該当します。
※9のラジエーターコアサポートは他箇所とは若干異なり、交換されていて、隣接するフレームに曲がりや歪みなど、修理されている跡があれば【修復歴あり】となります。
ですが一部の車種によっては9の交換は修復歴にはなりません。(コアサポート形状によって変動する)
この1~9の箇所以外は、たとえエンジンだろうがドアだろうが全ての部品を交換や修復をしたとしても、修復歴にはなりません。
1~9の骨格部分からボルトで外れるものは、交換しても修復歴にはならないということになります。
フレームの構造
現在販売されている車のほとんどは、モノコック構造と呼ばれる構造で生産されていて、フレームとボディーが一体で出来ています。
モノコック構造は、パーツひとつひとつをパズルのように組み合わせ強度を保っています。
軽量で、衝突時などの衝撃をボディー全体で吸収するといった反面、パーツひとつひとつの組み合わせで強度を保っているため、どこか1ヶ所衝撃をうけると車両全体に影響が出てしまい、変形してしまいます。
事故などで骨格の一部が損傷し、その一部を完全に修復したとしてもボディー全体で見れば変形していたり、歪んでしまっていたりする可能性があるのです。
きちんと元通りに修復されていれば問題ないですが、一部分しか修復されておらず、他の部分が変形したままだと車がまっすぐ走らない、ドアの閉まりが悪い、全体の強度が落ちるなどといった影響が出てしまいます。
事故歴とは
事故歴は、その車が事故にあったことがあるかどうかといった履歴のことです。
たとえば車庫入れの際に、壁とすこし擦ってしまった場合、車同士で正面衝突した場合、電柱に突っ込んだ場合、どれも事故になるので事故歴となります。
大小さまざまな事故があり、それを全て事故車と呼んでしまうと、ほとんどの中古車が大なり小なり事故歴車・修復歴車になってしまいます。
そして事故車というものは、事故の状態で修復せず、壊れたままで自走が困難な車を事故車(又は現状車)と呼ばれます。
従って、修復歴と事故歴は全く意味が異なり、流通経路を経て販売される中古車は、交換箇所はわかってもどのような事故を起こしたことのある車かは、元の所有者しかわからないということになります。
気をつけなければいけないのが、中古車市場で事故車といえば修復歴車のことをいいますので、一般ユーザー様の事故車の定義と中古車販売店の事故車の定義は違っていて、場合によっては話が食い違うことがありますので、事前に部品交換歴などを確認しておきましょう。
中古車販売店は、プライスボードで「修復歴の有無」の開示を義務付けられていますので、修復歴は確認できます。
しかし、悪質な店舗も少なからずあり、修復歴車を安く仕入れして修復歴なしで販売していることがありますので、信用できるデータを開示しているお店や保証を付けているお店で購入することをおススメします。